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2026-09-08 · teai.io team · 7 min read

GLM-5.2を8×H200で自前ホストしたら
315 tok/sになった
— 専用GPUの速さと、正直な原価

「トークンが出てくる速さ」は、コーディングエージェントや音声対話ではそのまま体験の質になります。 そこで GLM-5.2(公式配布のFP8・追加の量子化なし)を 8×H200 SXM 1ノードに載せ、 推論エンジンの設定をひとつずつ変えながら、どこまで速くなるかを1日かけて実測しました。 結論を先に言うと、単一ストリームで最大 315 tok/s(3種のプロンプト平均は 269 tok/s)、同条件で測った一般的なAPI経由の約2倍です。 ただし原価は「常時ほぼ満杯」でないと従量APIより高くなります。その両方を、数字のまま公開します。

315
tok/s(単一ストリーム・最大・説明文プロンプト)
0.05s
最初のトークンまで(TTFT・サーバ内計測)
2,739
tok/s(同時128本の合計)

測り方

何が効いたか — 投機デコードの掃引

素の状態(vLLM・投機デコードなし)は 112 tok/s でした。GLM-5.2 には MTP(Multi-Token Prediction)層が同梱されているので、 SGLang の NEXTN 投機デコードでこれをドラフトに使い、1ステップで何トークン先読みするかを変えていきました。

構成説明文 512コード 512長文 2,048備考
vLLM・投機なし112112起点
SGLang・投機なし115114
MTP steps 2 / draft 3232227231ここまでは前日分
MTP steps 3 / draft 4270181〜223255
MTP steps 4 / draft 5291238254
MTP steps 5 / draft 6305232251採用
MTP steps 6 / draft 7291229246頭打ち
steps 5/6 + allreduce融合 + symm-mem300250256コードだけ改善
steps 3/4 + FP8 KVキャッシュ251235220逆効果
torch.compile起動失敗子プロセス異常終了
ツリー投機(topk 2/4)起動不可DSA注意機構では非対応
Single Batch Overlap起動不可Hopper(SM90)非対応

採用構成の受理長(1回の検証で確定するトークン数)は平均 3.58、受理率 0.52 でした。steps を増やすほど先読みは伸びますが、6 で検証コストが勝ち始めます。 「コード」だけ伸びが鈍いのは、コードは分岐が多くドラフトの当たり率が下がるためです。

再現コマンド(採用構成):
python3 -m sglang.launch_server \
  --model-path zai-org/GLM-5.2-FP8 --tp 8 \
  --context-length 32768 --mem-fraction-static 0.85 \
  --speculative-algorithm NEXTN --speculative-eagle-topk 1 \
  --speculative-num-steps 5 --speculative-num-draft-tokens 6
起動(重みがローカルディスクにある状態からの再起動・ロード〜CUDA graph)は約220秒。初回は704GBのダウンロードが別に約20分かかります。同じ条件で測ればほぼ同じ数字が出るはずです。

一般的なAPI経由と同条件で比べる

同じ3プロンプトを、同じ日にストリーミングで測りました。比較対象は公開マーケットプレイス経由の GLM-5.2 で、 「既定ルーティング(勝手に振り分け)」「最速のプロバイダを指定」「最安のプロバイダを指定」の3通りです。計測は 2026-09-08 09:50〜10:30(JST)、対象は同マーケットプレイスの z-ai/glm-5.2 エンドポイントで、割り当てられたプロバイダ名と生ログは問い合わせいただければ開示します。

経路TTFT説明文コード長文
専用 8×H200(本記事の構成)0.05s315239254
マーケットプレイス・既定ルーティング0.6〜0.8s170222141
同・最速プロバイダ指定0.4〜0.6s158140129
同・最安プロバイダ指定0.5〜0.8s498659
専用 8×H200
315
既定ルーティング
170
最速プロバイダ指定
158
最安プロバイダ指定
49

TTFT の差はもっと大きく、0.05秒 対 0.5〜0.8秒です。音声対話やエージェントの「間」はここで決まります。 なお teai.io の共有プランの GLM-5.2 は原価が最小の経路を優先する設計のため、速度はこの表の「最安プロバイダ」の帯が目安です。 速さが要る用途では、共有プランと専用GPUで体験が変わる、というのが今回の実測の意味です。

日本からの実測 — 往復遅延を含めると TTFT の差は消える

サーバ内 0.05 秒の TTFT は、日本のユーザーには届きません。そこで同じ構成(8×H200・sglang・steps 5/draft 6)を米国リージョンに立て直し、 東京のデータセンター(teai.io のゲートウェイが動いている場所)から、クラウドの HTTP プロキシ経由でストリーミングの最初のバイトまでを測りました(2026-09-08 19:30 JST・16トークン・3回)。

東京からの経路TTFT(最初のバイト)備考
専用 8×H200(米国・クラウドのHTTPプロキシ経由)0.60 / 0.72 / 1.13 秒プロキシと往復で約0.45秒が乗る(モデル一覧APIでも 0.45 秒)
マーケットプレイス経由 GLM-5.2(既定)0.37 / 0.54 / 0.57 秒プロバイダは日本に近い可能性
正直な結論(2): 日本から使う限り、専用GPUの「最初の一言までの速さ」は従量APIと同等かやや遅く、勝っているのはその後の生成速度(315 vs 141〜222 tok/s)と、混雑時にぶれないことです。 TTFT まで勝ちたいなら日本近郊のリージョンが必要ですが、この日は日本DCに 8×H200 の在庫がありませんでした。専用プランでは在庫のあるリージョンを相談のうえ選びます。

同時接続を増やすと — 合計スループットと原価

1ノードを1人で使うのはもったいないので、同時に何本まで流せるかも測りました(512トークン×N本・temperature 0.7)。 原価は 8×H200 の時間単価(この実験で使った予約枠の表示価格 $36.72/時)を、その時間に出た出力トークン数で割ったものです。同じクラウドの公開価格は H200 SXM 1枚 $4.59/時(8枚で $36.72/時)で、この実験の単価と一致します。在庫次第で $28.72/時の枠が表示されることもあり、その場合は下の原価がいずれも約22%下がります。投機デコードは全行で ON のまま測っています(大バッチでは投機を切った方が合計が伸びる可能性があり、そこは未計測)。

同時本数合計 tok/s1本あたり tok/s出力1Mトークンの原価
1315315$32.4
8917115$11.1
161,41989$7.2
321,52348$6.7
642,11933$4.8
1282,73921$3.7

読み方の目安: 8人のチームが同時に使うと1人あたり約115 tok/s、32人なら約48 tok/s です。見出しの315 tok/sは「1人で占有したとき」の数字で、専用プランで実際に体感する速度は同時本数で決まります。

正直な結論: 従量APIの GLM-5.2 は出力1Mトークンあたり $3〜4 台(プロバイダにより $1.5 台も)です。 専用GPUがそれと並ぶのは同時128本を常時張り付かせたときで、1人で使えば約10倍の原価になります。 つまり専用GPUは「安くするため」ではなく「速さと待ち時間の安定を買うため」のものです。 混雑時に他の利用者と帯域を分け合わないこと、レート制限やデータの所在(リージョン・ログ保持)を契約で取り決められることも含めて判断してください。

Kimi K3 は載らなかった

同じ日に Kimi K3 も同じ構成で試しました。結果は断念です。 公開されている K3 の重みは FP8 で 2.82TB、4bit重み+FP8活性(W4AFP8)で 1.48TB、NVFP4 で 1.61TB。 8×H200 の合計 1,128GB にはどれも収まりません。唯一載る 1bit 量子化(GGUF・606GB)は llama.cpp 系エンジンで 10〜18 tok/s しか出ず、8枚のGPUを並列に使い切れませんでした。K3 を速く動かすには 16×H200(2ノード)か、 メモリ 288GB の B300 が必要です。B200/B300 は8枚構成の在庫がまだ薄く、今回は見送りました。 自前ホストの費用感は Kimi K3を自分でホストしたらいくら? にまとめています。

まだ試していないこと

注釈: 数値はすべて 2026-09-07〜08 の実測(単一リージョン・単一日・同一プロンプト)で、恒久的な性能保証ではありません。 比較対象のマーケットプレイス経由は、その時刻に割り当てられたプロバイダの速度です。専用GPU側の速度はサーバ内計測で、利用者側のネットワーク往復は含みません。teai.io は GLM-5.2 を含む各モデルの再販事業者であり、その意味で当事者です。 この実験のGPU代は約 $640 でした。

teai.io 専用プラン(専用GPU)はお問い合わせください

この記事の構成(8×H200・GLM-5.2・315 tok/s)を、お客様専用のエンドポイントとして用意します。 モデル・リージョン(日本近郊は在庫次第)・同時接続数・稼働時間帯に合わせて見積もります。接続は OpenAI 互換のエンドポイントとして提供し、初期設定・監視は弊社が行います。

目安料金(税別)金額内容
常時稼働月額 ¥4,980,000〜8×H200 1ノード(この記事の構成)・24時間365日・初期設定/監視込み
時間帯限定¥7,500/時〜平日日中のみ等・1回あたり最低8時間・起動に約25分

月額は8×H200換算で約 $44/時(¥154/$換算)。同構成の公開価格は、GPUクラスタを自前運用する場合で $47.92/時(1枚 $5.99×8)、マネージド推論のオンデマンド配備で $64.00/時(1枚 $8.00×8)、大手クラウドの8×H200インスタンスで $63.30/時です(いずれも 2026-09-08 に各社の公開価格ページで確認・ 出典A出典B出典C)。 月額プランを同時128本で使い切った場合、出力1Mトークンあたり約 ¥690 に相当します。為替・GPU相場で見直すことがあります。

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